本記事では、プライム市場に上場している企業における幹部育成の成功事例を掲載しています(三井化学:4183、マルハニチロ:1333、東京海上ホールディングス:8766)。
幹部の視座を高め、意思決定力を醸成したいと考えている上場企業のトップ層は、自社に合った導入プランを構築するための材料としてご活用ください。
上場企業としてさらなる成長と持続可能な経営を実現するためには、部門横断的な視座を持つ幹部層の育成が不可欠です。
八十二銀行では、支店での実務経験を積んだ人材が本部へ登用される中で、経営層と議論できる構想力や全体最適での判断力が求められるように。OJTだけでは補えないリーダー育成が急務となっていました。
そこで八十二銀行は、経営視座の獲得に特化した実践型プログラムである「BBT経営塾」を活用。
新入行員研修にも導入していた実績を活かし、管理職・部長層へと対象を拡大しました。
他業種の幹部人材と切磋琢磨する環境を通じて、多様な視点で経営を学べる仕組みとして、経営層候補の育成に組み込んでいます。
BBT経営塾には、女性として執行役員監査部長を務める伊東氏が受講。
大前研一氏によるグローバルな社会経済分析を起点に、実際の企業課題に対する戦略立案や意思決定演習を重ねています。
受講者同士の議論を通じて、現場起点では得られにくい視点が身につき、組織内でも積極的に議論をリードする姿勢が根づき始めました。
受講者が獲得したグローバル視点と経営構想力は、2026年に予定されている長野銀行との合併に向けた組織再編や企業文化の統合においても重要な力となりました。
八十二銀行では、今後も上場企業にふさわしい経営幹部の継続的育成に向けて、BBT経営塾を中核とした外部教育の活用を推進していきます。
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三井化学は、ヘルスケア、モビリティ、フード・パッケージ、基盤素材などを開発・製造している総合化学メーカーです。
海外展開の加速やポートフォリオ再構築を進める中で、経営者候補の戦略的獲得・育成が急務となっていました。
従来の年功的な人材育成では対応しきれず、戦略的に経営層を担える人材を早期に確保・育成する必要が生じたのです。
組織の目標達成を目指し、経営者候補の能力やスキルを引き出すマネジメント手法(通称キータレントマネジメント)を本格導入しました。
経営者候補に必要な5つの経験(経営視野、事業再構築、新規事業、全社プロジェクト、海外経験)を定義し、対象者の選抜を毎年行っています。
評価指標には「業績」「潜在能力」「熱意」の3軸を用い、対象者ごとに個別の育成計画と配置戦略を立てました。
「熱意」などの定性的評価は、一般的に見解が分かれるケースも珍しくありません。三井化学は、経営層の関与と評価基準の明確化によって、納得感のある選抜を実現しています。
キータレントマネジメント導入後、着実に後継候補者の選抜・育成体制は整備されました。
具体的な成果として、戦略重要ポジション後継者準備率が導入以前(2019年度)は199%だったのに対し、2021年度は233%に上昇。将来的な目標値は250%としています。
育成計画と人事配置の連動により、経営幹部候補が計画的に経験を積める環境が強化されたのが主な成功要因でしょう。
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マルハニチロは、水産・食品・保管物流に関する事業を手掛けている企業です。
部門内の業務遂行力には一定の水準があったものの、事業の多角化が進む中で、部門を超え広い視点で事業を捉えられる中核人財が不足していました。
全社視点を持って意思決定できる幹部候補を育成するため、組織的な仕組みを整える必要があったのです。
人事部が主体となり、2018年からMMP(経営リーダー人財育成プログラム)をスタートしました。
「選抜」「育成」「経験」という3段階のフェーズに分け、各フェーズを1年ごとに進行しています。
適性がある人材を選抜するため、「選抜」フェーズではアセスメントや適性検査を実施しました。
次のフェーズに進むのは選抜された人材のみ。経営知識やマネジメントスキルを強化し、最終的に現場での経験を通じて実践力を磨いています。
会社の中で経営人材を見極める役割を担う「人事委員会」が対象者を一括管理することで、選抜の透明性を担保しました。
選ばれた人材は「人材プール」と呼ばれるリストに登録され、将来の幹部候補が誰か常に可視化された状態で運用されています。
また、経営幹部の直下で組織を支える「部長クラス」の後継者を育成するため、2020年度からMSP(キーポジション後継者育成プログラム)も導入されました。
MMP(経営リーダー人財育成プログラム)を3年かけて実施した結果、成長実感が対象者に浸透しました。育成フェーズまで修了した人材は累計50名以上にも上ります。
人材プールを通して、経営人財の適性を持つ社員を可視化できるようになったのも大きな変化。次世代のリーダー育成における成果が具体化し始めています。
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東京海上ホールディングスは、損害保険や生命保険、海外保険などの事業を運営する企業です。
より大きな成果を出すためには、各社・各部門がバラバラに動くのではなく、一体となって経営戦略を実行できる人材が欠かせません。
グループ全体の力(=シナジー)を最大化するためにも、高度な経営判断力と広い視座を持つ人材を継続的に育てる仕組みが必要でした。
課長層以上を対象として、人事部門が選抜を行い、経営人材の育成研修を実施。効率よく進めるために、国内人材向けの研修と海外人材向けの研修が用意されました。
国内人材向けの研修では「経営スクール」「経営フォーラム」「新任執行役員研修」という3種類のプログラムを提供。
海外人材向けの研修では「Global Executive Program」「Middle Global Leadership Development Program」「KAGAMI21」というプログラムを実施しています。
各プログラムには合宿形式や異文化環境での演習など、日常業務とは切り離した「越境」の要素を組み込みました。内省の深さを促すファシリテーションも重視されています。
また、全プログラムにおいて、CEOや社長などの経営層が積極的に関与しました。トップが本気で育てる姿勢を見せることで、受講者の姿勢にも良い影響を与えています。
研修を終えた社員には、あえて難易度の高い任務(タフアサインメント)を与えることで、実践の中で自ら考えて行動し、成長する機会を用意。
座学だけでは身につかない経営判断力やリーダーシップの深化を促しています。
また、研修を通して参加者同士のつながりが構築され、国内外の経営陣と対話する機会も増えました。
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本記事で紹介したプライム上場企業は、それぞれ異なる業種・組織課題を抱えながらも、自社の経営戦略と連動した幹部育成の設計と経営層の強いコミットメントという点が共通していました。
幹部育成研修は、単発で実施するだけでは十分な効果が得られず、戦略に基づく設計と組織全体の巻き込みによって初めて機能します。
本記事の事例が、自社の幹部育成プログラムを構築する際の参考情報となれば幸いです。
また、本サイトは経営幹部の育成に特化した情報をまとめています。
「事業部長候補向け」「現地法人の代表候補向け」「次期後継者候補向け」という対象者別のおすすめの研修プログラム提供会社も紹介していますので、比較・検討の材料としてご活用ください。
経営幹部育成は、誰を育てるかによって選ぶべきプログラムが異なります。
ここでは、事業部長候補・現地法人の代表候補・次期後継者候補の3タイプに分けて、相性のよい研修プログラムを紹介します。
【事業部長候補】向け
経営変革を担う人材の育成なら

実在企業の課題をもとに考え抜く演習や、異業種の受講者との議論を通じて、経営判断力・戦略思考・構想力を磨けるプログラムです。部門最適ではなく、全社視点で考えられる人材を育てたい企業に向いています。
【現地法人の代表候補】向け
グローバルリーダー育成なら

異文化理解や現地適応力に加え、実務を想定したトレーニングを通じて、グローバルな経営視点と現地スタッフとの協働力を身につけられるプログラムです。赴任前後の育成を強化したい企業に向いています。
【次期後継者候補】向け
事業承継のためのインプットなら

階層別テストやケース演習を通じて、後継者候補に必要な意思決定力・リーダーシップ・経営知識を整理して強化できるプログラムです。事業承継に向けて、必要な知識を計画的に補いたい企業に向いています。