本記事では、次世代経営者の育成を目的とした研修プログラムで、成功した企業の事例を掲載しています。次世代経営者の視座を高め、意思決定力を醸成したいと考えている方は、自社に合った導入プランを構築するための材料としてご活用ください。
クラレでは、素材開発からグローバル展開まで多様な事業を手がける中、将来の経営を担う人材に対する育成が重要課題に。
従来のOJTだけでは、経営に必要な視座や視野を養うには限界があり、体系的かつ実践的なアプローチで次世代リーダーを育成する必要性が高まっていました。
そうした課題を受け、クラレでは選抜された管理職層に対し、BBT経営塾への参加を推奨していました。
特に、実際の企業を想定した経営課題を扱う研修を通じ、異業種の受講者との議論を重ねることで、業界を超えた視点や実践的な意思決定力の習得を目指します。
受講者は毎週異なる業界・テーマの経営課題に取り組み、知識の枠を越えて思考する姿勢を養いました。
異業種の参加者との交流や、企業の歴史・ビジョンに触れる経験を通じて、経営者に求められる「理念の共有」や「価値観の浸透」といったテーマについて、より深い理解を得ることができています。
本プログラムを通じて、経営層候補が企業ビジョンをどのように社内に浸透させていくかという視点を獲得しました。
また、組織を超えたつながりやグローバルな視座の重要性を認識し、将来的に国際的にも競争力ある企業をつくるための意識醸成にもつながっています。
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東急は、東急線の運営や不動産事業を手掛けている大手・東急グループの事業持株会社。東急グループの次世代経営層を育成する目的で、2006年より「東急アカデミー」の選抜研修を実施しています。これまでのプログラムでは経営人材としての能力・スキルを総合的に育成してきました。
しかし、コロナ禍以降の激しい社会変化を受けて、プログラムを見直すことに。先行き不透明な世の中で生き残っていくため、インサイドアウト型リーダー(確固たる価値観や信念を基に組織を動かせる人材)が求められていました。
この課題を解決するために実施されたのが、インサイドアウト型リーダーをテーマとした新研修プログラム「CLDP」です。対象となったのは、約20名の部長・部長候補者で、全10日間にわたり開催されました。
プログラムの内容は「自分を知る(内省)」「社会・経営を知る(インプット)」「変革に挑む(実践)」の3ステップで構成されています。
CLDPでは、「東急グループのDNAと自分とのつながり」を探るワークが行われました。創業者の志に触れたうえで、会社として守るべき価値と変えるべき点を議論。そこから「自分はなぜリーダーとしてこれを実現したいのか」「どんな影響を組織にもたらすのか」といった問いを深く掘り下げていきました。
さらに、複数回実施された1on1セッションでは、「そのビジョンは本当に自分の内発的な動機に基づいているのか?」と繰り返し問われ、受講者の中で考えが徐々に研ぎ澄まされていきました。
本研修は、インサイドアウトの考え方を理想論に留めず、実務へ橋渡しした成功例といえます。ワークを通して、「組織変革に自分が関わる」という主体性が育ちました。
受講者からは、「自己理解が深まった」「曖昧だった自分のリーダー像を言語化できた」といった声が寄せられています。
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日本特殊陶業は、自動車部品およびセラミックス製品のグローバルメーカーです。多様な価値観や文化を束ねる「次世代経営層」に求められる能力について、改めて問い直していました。論理的思考や業務遂行力だけでは、人を惹きつけ、率いる力には不十分だと感じていたためです。
そこで「共感」や「内省」といった、人間としての深みが求められるようになりました。
約1年間にわたり「次世代経営者育成研修 HAGI」を実施しました。対象は、将来の執行役員・部門長候補です。
受講者は「再入社プレゼン」というユニークなワークを通して、なぜ自分はこの会社で働きたいのかを言語化。さらに「寸劇による理想の組織の再現」「ビジョンのコミットメント発表」などのプログラムで、感情と理性の両面に訴えるアプローチが取られました。
研修の中核となったのは、「もし会社を一度辞めて、再び入りたいとしたら?」という問いに基づく仮想の再入社面接です。自己の価値を言語化することの難しさに直面し、真剣に取り組む様子が見られました。
ある受講チームでは、一度「再入社不合格」という結果になり、仲間が「3分でいいから再面接をさせてほしい」と訴えるシーンも。ワークを通して相互理解が深まり、信頼が形成されました。
受講者はプログラムを通して情熱や信念を抱くようになり、研修修了後は高確率で役員へ昇格しています。
受講者からは「人を共感で巻き込む力がついた」「深い自己理解により行動が一貫し、信頼が増した」などのフィードバックが寄せられました。コメントの内容から、幹部としての「視座の高さ」を身に付けたことがうかがえます。
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大日本印刷の新規事業開発を取りまとめている担当者の研修事例です。社内に知見や強みがない新規事業の開発を進めるにあたり、ゼロから価値を生む経験や、スピード感ある意思決定の経験を求めていました。
この課題を解決するため、ベンチャー企業で実務を行う「越境研修」に取り組むことが決定したのです。
新規事業開発担当者は「複業留学」というサービスを活用し、約3か月もの間、まちづくり系ベンチャー企業で越境研修を行いました。
大日本印刷では「計画・チェック」がメイン業務でしたが、ベンチャー企業では自ら手を動かす役割に挑戦。リサーチから提案書作成まで主体的に動く環境は、貴重な実践機会となりました。
限られた時間で越境研修と本業を並行し、「まずはできることを」という実行力と、「60点でもアウトプットを出す」という割り切り力を習得しました。
また、「予算ゼロでリサーチを進める」「代表の即決でアイデアが即実行される」など、ベンチャー企業ならではの文化にも刺激を受けています。その中で、部下への想いや組織における自分の役割を再定義しました。
越境研修以前は、部下のやりたいことやモチベーションを重視する調整型のリーダーシップをとっていました。しかし、研修を終えた後は、自分の中のミッションやビジョンが明確になり、自らの考えや思いを明確に伝えるリーダーへと変化しています。
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ご紹介した事例には、新しい時代の変化に対応できる人材を育成するプログラムという共通点が見られました。次世代経営人材を育てるには、定期的に自分を内省し、社会・経営とのつながりを知り、変革に挑戦するスキルを磨く必要があると言えるでしょう。
本記事の内容が、自社の次世代経営人材育成プログラムを構築する際の参考情報となれば幸いです。
また、本サイトは経営幹部の育成に特化した情報をまとめています。
「事業部長候補向け」「現地法人の代表候補向け」「次期後継者候補向け」という対象者別のおすすめの研修プログラム提供会社も紹介していますので、比較・検討の材料としてご活用ください。
経営幹部育成は、誰を育てるかによって選ぶべきプログラムが異なります。
ここでは、事業部長候補・現地法人の代表候補・次期後継者候補の3タイプに分けて、相性のよい研修プログラムを紹介します。
【事業部長候補】向け
経営変革を担う人材の育成なら

実在企業の課題をもとに考え抜く演習や、異業種の受講者との議論を通じて、経営判断力・戦略思考・構想力を磨けるプログラムです。部門最適ではなく、全社視点で考えられる人材を育てたい企業に向いています。
【現地法人の代表候補】向け
グローバルリーダー育成なら

異文化理解や現地適応力に加え、実務を想定したトレーニングを通じて、グローバルな経営視点と現地スタッフとの協働力を身につけられるプログラムです。赴任前後の育成を強化したい企業に向いています。
【次期後継者候補】向け
事業承継のためのインプットなら

階層別テストやケース演習を通じて、後継者候補に必要な意思決定力・リーダーシップ・経営知識を整理して強化できるプログラムです。事業承継に向けて、必要な知識を計画的に補いたい企業に向いています。