本記事では、将来の経営を担うリーダー候補から現任のマネジメント層まで、幅広い層を対象としたグローバル経営人材育成の取り組み事例を3社紹介します。各社が直面した課題や取り組み内容、得られた成果を通じて、自社の幹部育成施策の設計に役立つ示唆を得ていただければ幸いです。
カネカでは、シリコンバレー拠点での医療機器開発および技術導入を推進する中、技術力だけでなく、多様なプロフェッショナルとの信頼構築や発信力といったグローバルで通用するビジネススキルの必要性が顕在化していました。
世界の第一線で勝てる人材には、構想力・対話力・説得力の総合的な強化が求められていたのです。
カネカは、国際的なビジネス環境で即応できるリーダーシップとアウトプット力を高めるため、幹部候補人材をBBT経営塾に派遣。
特に実際の企業の課題を基にしたケース演習に着目し、多様な課題に即応できる思考訓練と発信スキルの習得を実践的に支援しました。
受講者は、大前研一氏の戦略的プレゼン手法を参考に、「一枚のチャートで一つのメッセージを伝える」構成力を徹底的にトレーニング。
複雑な事象をシンプルに伝える技術は、異文化間の意思疎通や社内外の提案活動にも効果を発揮し、グローバルに通用する“伝える力”として定着しつつあります。
BBT経営塾で得た学びにより、異業種との対話を通じて視野が大きく広がりました。
医療機器業界の将来構造変化への洞察力も深まり、単なる技術者にとどまらない「ビジネスアーキテクト」としての視座を確立。グローバル戦略を描ける人材の育成という観点でも、大きな成果が得られています。
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マンダムは、GATSBYブランドがアジア市場でも人気を集めている化粧品メーカーです。 創業100周年を迎える2027年に、自社のありたい姿をまとめた「VISION2027」を策定。アジアの成長を取り込んだグローバルカンパニーへの進化を基本方針としています。
このビジョンの実現には、将来の市場変化を見据え、自ら構想・実行できるグローバル人材の早期育成が急務となっていました。
国内外のリーダー候補を対象に、経営の本質を学ぶ講義、自社の価値観を再定義するワーク、実務に即したプロジェクトを組み合わせた研修を展開。参加者の戦略構想力と実行力の習得を支援しました。
多言語対応の設計や外部ファシリテーターによるフィードバックを導入。課題設定や進捗管理に柔軟性を持たせることで、実効性のある学びの場を実現しました。
事業構想力が可視化され、研修修了後に中核ポジションへの登用が進むなど、組織的なリーダー層強化につながりました。また、異なる部門間でも共通の視点や判断基準が共有されるようになりました。
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グローバル展開の加速を見据え、未来構想力と環境変化への対応力を備えた経営者候補の育成が不可欠でした。しかし、既存の育成制度では十分に機能していない点が課題でした。
既存の育成制度では不十分という課題を受け、次世代の経営人材を早期に育成するための選抜型研修プログラムが立ち上がりました。この研修は、経営者としての知と軸を育むことを目的に設計されており、新規事業の構想や成長市場への展開など、グローバルな経営課題を主体的に考える機会を通じて、経営視点を磨く内容となっています。
さらに、他部門の従業員や外部パートナーなど、様々なステークホルダーと協働しながら、変革を主導する実践にも取り組みました。
社内外の関係者と協力し、対象者の選定からカリキュラム設計、評価方法を一体的に設計。進行中も改善を繰り返し、現場の理解と協力を得ながら、継続的に取り組める体制を築きました。
研修終了後、部門を越えた戦略プロジェクトへの参画や、次期経営者候補の選出を実施。参加者同士のネットワークも形成され、現場で主体的に変化へ対応する動きが生まれました。
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SAPジャパンは、ドイツに本社を置く「SAP SE」の日本法人。企業向けソフトウェアの開発・販売・サポートを手がける外資系IT企業です。日本企業のグローバル展開が進む中、SAPジャパンでは国内視点に偏った提案では顧客のグローバル経営課題を捉えきれず経営層への提案が本質的な変革支援に直結していない事例が増加。
また、カスタマーサクセスと事業目標の両立への課題認識が不足しており、グローバル経営支援力を強化する人材育成が急務となっていました。
SAPジャパンは、選抜メンバーを対象にGTEPを導入。経営戦略論やリーダーシップといった基礎から、世界経済動向や主要国市場の特性、日本企業特有の経営文化や顧客企業の歴史的背景まで学ぶカリキュラムを展開。参加者は経営視点で自ら課題を設定し、自律的に行動する力を養いました。
ノミネーション・アンド・コミットメント方式で上司による推薦後、本人が参加を自発的に決定。約1年間の研修期間中は人事担当や現場マネージャーが定期的に1on1で進捗を確認し、学びの継続と自己振り返りを支援。
グロービス講師陣は「CEOならどう評価するか」といった問いを投げかけ、顧客の源流や社会変化を踏まえた思考深化を促しました。
GTEP後、多くの参加者がクライアントのエグゼクティブと経営レベルの対話が可能となり、大型クロスボーダー案件を獲得。「大きな規模のビジネスを進められる」との声が上がっています。
日本発の取り組みはグローバルSAPの標準プログラムへ昇華され、人材育成部門との連携強化が進行中。単なるスキル教育にとどまらず、カスタマーサクセスとビジネスを両立するモデルケースとしても評価されています。
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本記事で紹介した3社は、経営課題と連動した研修設計と、受講者の主体性を引き出す仕組みによって、経営者候補育成の成果を上げています。特に、体験型学習や部門間の視座統一は、次世代の経営層に求められる実行力強化に寄与する手法です。
経営者候補の育成施策検討にあたり、ご紹介した事例が設計・導入の参考になれば幸いです。
また、本サイトは経営幹部の育成に特化した情報をまとめています。
「事業部長候補向け」「現地法人の代表候補向け」「次期後継者候補向け」という対象者別のおすすめの研修プログラム提供会社も紹介していますので、比較・検討の材料としてご活用ください。
経営幹部に必要な能力が身につく
育成研修プログラム提供会社
おすすめ3選
一般的なグローバル人材は、「語学力が堪能であるとともに異なる文化に適応し、与えられた海外の現場業務を遂行できる人材」を指しています。
対してグローバル経営人材は、国際的なビジネススキルと感覚を持ち、異なる国・異なる文化やビジネス環境の中でも活躍できる人材です。このような人材は、国際的な視点を持っていることから、異なる文化間におけるコミュニケーション能力にも長けている点も特徴といえます。グローバルな業務において、さまざまな文化背景を持つメンバーやパートナー、顧客と協働しながら、企業におけるグローバルな戦略策定と実行について牽引していくための必要な能力を持つ人材です。
例えば、「本社からの指示を現地で実行するのみ」といった、単に海外で働けるだけでは経営人材とはいえません。不確実性の高いグローバル市場において、現地においてもプロフェッショナルとの信頼を構築し、ゼロベースで課題の設定を行い、自らのビジョンと決断力によってビジネスを推進できるという、事業を動かせる能力が求められます。
グローバル市場で活躍するための専門性や語学力に加えて、異文化やさまざまな価値観を理解・尊重できる能力を持っていることで、文化的な違いを超えたコミュニケーションを行えます。
さらに「戦略的思考力」を持つことによってグローバルなビジネス環境を分析した上で、長期的な視点から戦略をたて、実行できるようになります。また、異なる文化を持つスタッフが集まるチームを統率し、目標達成に導く「リーダーシップ」、異文化の中に素早く適応し、刻一刻と変化していく環境に柔軟に対応するための「適応性」など、さまざまな能力が求められます。
グローバル経営人材の育成においては、候補者を選抜する際の基準が曖昧になりやすい点が課題として挙げられます。例えば、「英語ができる」「現在の営業成績が良い」といった実績のみで候補者を選んでしまうケースがありますが、現在のスキルと経営に必要とされるコンピテンシーは異なる点に注意が必要です。
特に求める経営人材が定義されていない場合には、選抜基準がはっきりせず育成のミスマッチに繋がる可能性が考えられます。
グローバル人材の育成=語学研修、と短絡的に捉えてしまい、語学力というスキルの習得に終始してしまう、というケースもあります。もちろんグローバル経営人材には語学力が求められますが、それだけでは経営判断はできません。本当に求められるのは、グローバルな環境下で変化を先読みし、戦略を組み立ていくための経営能力です。この部分の育成が不足しやすくなるという点が、育成における大きな課題であるといえます。
研修を通じて人材を育成したとしても、その人材を活かす機会が不足しているケースも見られます。育成後にその人材が活躍するためのポストや、それに見合った対価が与えられていない、といった状況になることもあります。このような状況が発生した場合、「この会社にいても自分の能力を活かせない、正当に評価されない」と考え、育成した人材の流出が発生する可能性もあります。
まずは「育成ゴール」を定義することが大切です。ここでは、自社の経営戦略や海外展開におけるロードマップに基づいて、自社が求める人材像を明らかにします。この部分が曖昧な場合、育成の方向性が決まらない、候補者の選定基準も定まらないという状況に陥ってしまいます。そのため、どのような知識やスキルが必要なのかを洗い出す作業を行い、どのような人材を育成していくのかといったゴールを定義するという点から始めていきます。
育成ゴールの定義後、それに合った候補者を選抜します。その際には、上司の主観のみで選抜を行うのではなく、客観的な観点から選抜するためにも、アセスメントツールなどを活用しながら、論理的思考力や異文化への適応力、リーダーとしての資質など、求められる資質について多角的に評価を行うことが重要です。
候補者を選抜したら、育成をスタートします。ここでは、知識をインプットする座学だけではなく、実務経験や海外経験など実践的な研修を組み込んでいくことが大切です。研修の中で実務経験を積むと、ビジネスパーソンとしてさらなく成長を図れます。また海外経験によって、ビジネススキルだけではなくそれぞれの国について深く知り、知見を深めることにも繋がります。
前述の通り、育成後の配置や評価にかかわる制度が整備されていない場合には、人材を育成したとしても存分に活かせなくなります。このような状況を防ぐためにも、グローバル経営人材を育成する場合には、その後の配置や登用、評価制度の部分で合わせて設計を行っていくことが求められます。
グローバル経営人材を育成する上では、「自社がグローバル市場でどのように戦っていくのか」という経営戦略と人材戦略が直結していることが重要です。企業のフェーズや今後の戦略によって、求められるリーダー像は異なります。経営戦略と連動させることによって、自社の未来の事業を牽引するにはどのような能力や経験が求められるのかを定義できるため、的外れな育成を防げるという面もあります。
グローバル経営人材には、座学で得られる知識ではなく複雑な環境下で成果を出すための行動特性やマインドセットが求められます。これらを養うには、短期的な研修ではなく中長期でのアプローチが必要です。例えば、異文化の理解や現場での意思決定力など、グローバル経営人材に求められる能力は、数日間の短期研修で身につけることはできません。中長期に渡り「実践」と「フィードバック・振り返り」を繰り返すことによって、実際の業務で使える能力として定着していきます。
上記のように研修制度を整えるといった点も重要なポイントであることに加え、人事基盤の整備もグローバル経営人材育成を行うにあたって必要な部分であるといえます。具体的には、グローバル共通の人事基盤を整えるという点です。このように、多彩な人材がそれぞれの強みを活かして伸ばしていける環境を整えるための取り組みも求められるといえます。
自社に合った育成体系を設計するには、まず「自社に必要なポスト」について把握する必要があります。どのようなポストが必要なのか、またポスト数はどれくらい必要なのかを明らかにして、そこから逆算する形で候補者層を設計するようにすることが必要であるといえます。
現地の商習慣をとらえた上で事業を進めていくには、現地法人の出身者の登用が必要です。さらに、意思決定の偏りを防ぎイノベーションに繋げていくためにも、国籍や性別などにとらわれない多様な候補者の確保が求められます。この点から、多様な背景を持つ人材が互いの文化を理解しながら成長できる環境を整えていくことが重要な点であるといえます。
グローバル経営人材を育成するにあたって、「まず自社ではどこから着手すべきなのか」という点を整理します。まず必要なのは、「自社経営戦略に基づいた、求める人物像の定義」であり、異文化環境でのリーダーシップや事業推進力といったように、必要となる要件を明文化します。その上で対象となる人材のリストアップを行い、育成プランの策定・実行に移行していきます。このように、育成を行っていくには自社ではまずどこから始めたら良いのか、という点について検討し、整理していくことが重要となります。
経営幹部育成は、誰を育てるかによって選ぶべきプログラムが異なります。
ここでは、事業部長候補・現地法人の代表候補・次期後継者候補の3タイプに分けて、相性のよい研修プログラムを紹介します。
【事業部長候補】向け
経営変革を担う人材の育成なら

実在企業の課題をもとに考え抜く演習や、異業種の受講者との議論を通じて、経営判断力・戦略思考・構想力を磨けるプログラムです。部門最適ではなく、全社視点で考えられる人材を育てたい企業に向いています。
【現地法人の代表候補】向け
グローバルリーダー育成なら

異文化理解や現地適応力に加え、実務を想定したトレーニングを通じて、グローバルな経営視点と現地スタッフとの協働力を身につけられるプログラムです。赴任前後の育成を強化したい企業に向いています。
【次期後継者候補】向け
事業承継のためのインプットなら

階層別テストやケース演習を通じて、後継者候補に必要な意思決定力・リーダーシップ・経営知識を整理して強化できるプログラムです。事業承継に向けて、必要な知識を計画的に補いたい企業に向いています。