経営幹部を育成する選抜研修の事例

選抜研修は、多くの企業において取り入れられている研修です。これは、企業が育成を行う対象者を選抜して行う研修を指しており、例えば人事評価や上司からの推薦など一定の基準に沿った形で人選が行われます。

こちらの記事では、選抜研修に対して興味を持っている方や、実施を検討している方などに向けて、実際に行われている選抜研修の事例を紹介しています。どのような課題があり、実施の結果どのような成果が得られているのかをまとめていますので、ぜひ参考としてご覧ください。

明治安田生命保険相互会社
(業種:生命保険、金融業)

時代や戦略の変化に応じた次世代のリーダー育成

背景・課題:
時代の変化に応じてリーダー育成のあり方に見直しが必要だった

近年、「みんなの健活プロジェクト」「地元の元気プロジェクト」といったように生命保険商品を超えた価値の創出に力を入れている明治安田生命保険相互会社。このように時代の変化に応じて戦略も変化している現在、リーダーに求められる能力も変化しています。

この点から、これまで同社が行ってきたリーダー育成のあり方についても見直しが必要になったことから、次世代リーダーの育成に本格的に取り組んでいます。

取り組み:
受講者が自らの経営哲学・ビジョンを自分の言葉で表明

次世代リーダー育成においては、書籍や講演などからさまざまな刺激を受けつつ、自身の考えを深め、半年間にわたって議論や熟考を重ねていくという取り組みを行っています。

取り組みの集大成が、自分が実際に社長就任した、という想定で行う「就任演説」。ここでは、受講者が自らの経営哲学やビジョンについて表明しますが、現職の会長や社長、社外取締もこの場に参加するため、非常に高い緊張感とともに期待が込められているものとなっています。そして、演説後はトップ層からの質疑にも対応することで、経営者としての覚悟を深めます

プロセス:
長年継続する中でプログラム内容は少しずつ変化

同社が取り組んでいるこのプログラムは、長年継続して実施されていますが、その間試行錯誤を繰り返しつつプログラム内容を少しずつ変化させています。その過程において階層別の強みや弱みに関する傾向も把握できるようになったことから、それぞれの層に対する育成施策についても改善が行われています。

成果:
経営陣の多くがリーダー育成の研修修了者

明治安田生命保険相互会社は、「メンバーシップ型雇用」を基本としている点が特徴の一つであり、この点を活かしながら長期的な視点を持った人材育成に取り組んでいます。この長い時間軸での育成方針が人を育てる基盤となったことから、現在は経営陣の多くがこの次世代リーダー育成の研修修了者であるといったように、成果に結びついています。

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三菱電機株式会社
(業種:電気機器)

プロの経営視点を持った人材を育成するための選抜研修を実施

背景・課題:
プロの視点を持つ人材の育成を必要としていた

三菱電機株式会社では、これまで技術職や営業職において優れた成果を挙げた人材が事業をリードしてきたものの、時代の変化が早くなっている現在、「プロの経営視点」を持つ人材の育成を必要としていました。また、40代半ば〜50代前半の経験・専門性が豊富な部長層においては、これまで会社や自身のビジョンを考える機会がなかったという状況になっていました。

取り組み:
経営視点を獲得し、ビジョンを言語化するための選抜研修

上記の課題を解決するためにも、部長層が「経営的視点の獲得」と「自身のビジョンを言語するための力」を習得するための選抜研修の立ち上げを行っています。こちらの研修の特徴は、最終的なアウトプットとして行う「ビジョンスピーチ」です。このスピーチは、それぞれの受講者が自身の考える未来に向けた経営ビジョンや使命感について、自分の言葉で発表するものです。

プロセス:
講義・議論・フィードバックにより自身の視点を磨く

こちらの選抜研修はおよそ4ヶ月間にもわたる長いものとなっています。研修の中では、受講者は講義を受けるだけではなく、議論やフィードバックを経験し、自身の視点を磨いていくことができます。また、講師やコンサルタントが受講生に丁寧に寄り添いながら研修を進めていった点も特徴であり、それぞれの受講生に合わせて調整を重ねながら研修が進行されました。

成果:
受講生のうち、およそ7割が昇格

こちらの選抜研修は2019年度から取り組みが開始されていますが、2020年度までの受講者のうち、およそ7割の人材が昇格しているという結果になっています。中には、経営層への登用実績(事業所長や製作所長など)も出ています。

そのほかの成果としては、受講生が研修を終えた後に事業部内、他の研修の現場などにおいて、自分の言葉を用いてビジョンを語る姿が見られるようになった、という点が報告されていることから、個人の成長はもちろん組織の文化に根付き始めていると考えられます。

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パナソニック産機システムズ株式会社
(業種:卸売業、小売業)

若手社員の選抜研修により早期に管理職登用が可能となるサイクルを構築

背景・課題:
アンバランスな年齢構成

かつて厳しい経営状態が続いていたことから、2015年に新卒採用を再開するまで十分な採用ができていなかったパナソニック産機システムズ株式会社では、アンバランスな年齢構成となっている点が人事において抱える大きな課題となっていました。

実際の状況としては、2023年度上期末の時点で、従業員の半数以上を50歳以上が占めており、さらに課長以上の管理職においては50歳未満がわずか2割となっています。以上の状況から、10年後には50代以上の世代がごっそりと抜けてしまう可能性がある、という点が懸念されていました。

取り組み:
早期に管理職への登用が可能になるサイクルづくり

年齢構成がアンバランスであり、さらに世代交代や若返りも難しいという課題もありましたが、若手中堅層は目の前にある仕事に一生懸命向き合っていたことから、経営視点を持つ人財が不足しているという状況もありました。

ただし、2015年の新卒採用再開後に採用した世代が30代に差し掛かっていることもあり、人財の土台が整ってきたという状況でもあるため、選抜した若手社員に経営リテラシーを習得させ、早期に管理職登用が可能となるサイクル構築に取り組みました。

プロセス:
若手社員が経営視点で考えるための機会を提供

前述の通り、若手社員は現場目線での業務遂行能力が高い反面、経営視点は十分に養えていないという状況がありました。この点から、研修では選抜した若手社員が定期的に業務から離れ、経営視点で考えるための機会を持てるように、「視野」と「視座」という観点からコンテンツが組み立てられています。

具体的には、経営リテラシーを身につけることを目的として、学術的な経営マネジメントの理論とフレームワークを日々の仕事で活かせるような構成としています。

成果:
半数弱が課長代理として活躍

選抜された若手社員は、初めは研修に対して受け身だったものの、セッションを重ねるにつれて積極性が出てきました。受講後に突然変化が見られるわけではありませんが、自分なりに考える癖をつけられるようになり、だんだんと自分の考えを言語化できるようになっていきました。

選抜研修は、さまざまな部門から10名ほどが選抜されていますが、前年度の受講者の半数弱が課長代理として活躍。まだ登用されていない受講者も、現場においてリーダーシップを発揮しています。

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三菱重工業株式会社
(業種:機械)

会社を未来に導く次世代リーダー早期育成への取り組み

背景・課題:
経営の舵取りを行う次世代リーダーの育成が重要な課題

脱炭素社会へのシフトやデジタルトランスフォーメーションの進展など、さまざまな環境変化の中で、三菱重工業株式会社では、経営の舵取りを行い未来へと導くリーダーの育成を経営における重要課題と捉えています。

この「次世代リーダー」には、経営スキルのほか、幅広い業務経験に基づく広い視野、既存事業収益化と新たな領域の開発をバランスよく進める力といったように、さまざまな能力が求められますが、「社会の進歩に貢献したい」とい高い志を持っていることが非常に重要であると考えています。

取り組み:
課長層・主任層に対する育成プログラムを実施

前述のようなリーダーを育成するため、同社では人材プールを構築し選抜した人材に対して育成を行っています。さらに、経営上重要なポジションについてはサクセッションプランの整備を行っています。

このサクセッションプランのもと、課長層・主任層に対する育成プログラムを実施。例えば、課長層に対しては、経営スキルを獲得するとともにリーダーとしての覚悟・志にも向き合えるプログラムとしています。また、主任層向けのプログラムは、基本的な経営スキルを身につけることに加え、世の中の動向・トレンドにも触れられる内容で構成されています。さらに社内の人的ネットワークを形成し、早い段階から視野を広げるという点を意図した内容となっています。

プロセス:
幅広いプール人材発掘のため公募制も取り入れている

主任層に対する育成プログラムについては、より幅広いプール人材の発掘を目的として、受講者の一部を公募制としています。エントリーシートの提出に加え、基礎的な経営知識を学習した上で試験を実施。さらに面接を行って選抜をしています。

このように応募するハードルはかなり高いものとなっていますが、応募者は年々増加しており、さらにプログラムの受講生が周りの社員に参加を勧めるケースも見られることから、従業員にとって「負荷がかかったとしても参加したい」と感じられるプログラムになっているといえます。

成果:
初年度の受講生から役員が輩出

次世代経営人材育成プログラムをスタートした結果、受講者は経営スキルの習得はもちろん、リーダーとしての生き方や社会にどのように価値を提供すべきかを考える機会を持てたことから、非常に印象に残る研修となっているようです。また、受講者同士が実務において連携する機会も生まれており、グループの総合力を活かすという点においても研修による成果が上がっています。 そして、プール人材も増加。この取り組みを始めてから6年以上継続してきた結果、初年度のプログラム受講者から役員が輩出されています。今後も引き続き取り組みを行うことによって、タレントマネジメントを実行していきたいと考えています。

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経営幹部選抜研修事例の総括

こちらの記事では、経営幹部を育成することを目的とした、選抜研修の事例をご紹介しました。

選抜研修には、集中的な研修を行えるため優秀な人材を早く育成できる対象者が絞り込めるため研修コストを抑えられるなどさまざまなメリットがあります。ただし、研修を行う際にはその目的をしっかりと設定することに加えて、研修の対象者を選抜する際には明確な基準を儲けること、また対象者への告知を事前に行うといった点などに注意が必要です。

本サイトでは、経営幹部の育成に特化した情報をまとめています。もし、経営幹部選抜研修に興味がある場合には、研修プログラムを提供している会社に相談するのもひとつの手といえますので、ぜひ本サイトの情報をご活用ください。

経営幹部に必要な能力が身につく
対象者別の育成プログラム3選

経営幹部育成は、誰を育てるかによって選ぶべきプログラムが異なります
ここでは、事業部長候補・現地法人の代表候補・次期後継者候補の3タイプに分けて、相性のよい研修プログラムを紹介します。

【事業部長候補】向け

経営変革を担う人材の育成なら

Aoba-BBTの
『BBT経営塾』

Aoba-BBT
引用元:Aoba-BBT公式HP
(https://go.bbt757.com/keieijuku-lp/)
経営視点と構想力を鍛える
実践型プログラム

実在企業の課題をもとに考え抜く演習や、異業種の受講者との議論を通じて、経営判断力・戦略思考・構想力を磨けるプログラムです。部門最適ではなく、全社視点で考えられる人材を育てたい企業に向いています。

▼カリキュラム実例▼
Real Time Online Case Study
実在企業の課題に対し、「自分が経営者ならどう動くか」を考えるケース演習です。情報収集から分析、打ち手の構想までを実践的に学べます。
現代の経営戦略を学ぶ
社会・経済・テクノロジーの動向をテーマに、経営者が押さえるべき論点を多角的に議論し、意思決定に必要な視座を養います。

【現地法人の代表候補】向け

グローバルリーダー育成なら

グローバル・エデュケーションの
『企業研修プログラム』

グローバル・エデュケーション
引用元:グローバル・エデュケーション公式HP
(https://www.globaledu-j.com/)
海外拠点で成果を出すための
判断力と適応力を養う

異文化理解や現地適応力に加え、実務を想定したトレーニングを通じて、グローバルな経営視点と現地スタッフとの協働力を身につけられるプログラムです。赴任前後の育成を強化したい企業に向いています。

▼カリキュラム実例▼
エグゼクティブ・エデュケーション
海外拠点や部門を担うリーダー向けの短期集中コースです。世界の教授陣とのディスカッションや360度評価を通じて、視野と人脈を広げられます。
Global Boot Camp
異文化理解と異業種交流を軸に、6か月でグローバル人材への意識変革を促すプログラムです。事前課題や学習サポートも用意されています。

【次期後継者候補】向け

事業承継のためのインプットなら

インソースの
『後継者育成計画』

インソース
引用元:インソース公式HP
(https://www.insource.co.jp/kenshu/successionplan-top.html)
不足しやすい知識や判断力を
体系的に補える

階層別テストやケース演習を通じて、後継者候補に必要な意思決定力・リーダーシップ・経営知識を整理して強化できるプログラムです。事業承継に向けて、必要な知識を計画的に補いたい企業に向いています。

▼カリキュラム実例▼
階層別テスト(上級管理職向け)
経営戦略・リスク・人材・コスト・プロジェクト」などのテーマから、後継者候補に必要な知識と活用力を可視化します。
経営シミュレーション実践型プログラム
経営を疑似体験できるeラーニングを通じて、資金繰りや事業運営の判断を実践的に学べるプログラムです。事業承継を見据えた学習にも適しています。