環境の変化などにより、企業においては意識の改革を求められることがあります。役員や管理職などの意識改革は、企業で重要となる人材の育成やパフォーマンスの向上などに大きく関わってくる可能性もあります。こちらの記事では、さまざまな企業にて行われた意識改革に向けた取り組み事例について紹介しています。意識改革の必要性を感じている、意識改革に取り組みたいといった方は、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください。
港湾運送事業を中核とした総合物流企業である名港海運株式会社は、これまで名古屋港を中心として比較的安定した事業環境の中で成長してきました。
しかし、今は順調だったとしても10年後や20年後は不透明であるといえます。現在は顧客から与えられた課題に対し、誠意を持って取り組むことで信頼関係を構築してきましたが、今後は環境の変化について他社に先んじて察知する力を磨くことが大切と考えています。このような点から、同社は社内の意識を変える必要性があると感じ、抜本的な人材育成に着手しています。
同社にとって、今後必要となるのは「思考力」「提案力」「実行力」であることから、同社では2020年から「中核人材育成研修」「経営人材育成研修」「社長・役員ワークショップ」「360度サーベイ」「エンゲージメントサーベイ」に段階的に取り組んでいます。
具体的な研修内容は、新人の部長や副部長クラスには、部内にある課題の抽出方法と解決方法について学ぶ経営人材育成研修を実施。中堅リーダークラスの従業員に対しては、「思考力・企画力・提案力・実行力」を身につけるための中核人材育成研修を実施しています。これらの研修を受講した後は、研修の中でそれぞれが抽出した課題を部に持ち帰った上で、解決につながる行動を実践していきます。
そして、社長・役員ワークショップでは、それぞれの360度サーベイの結果を題材として、今後社員とどのように向き合い、ともに成長していくかという点について議論しています。このように、「社長・役員ワークショップ」は、社長と役員の一枚岩化も目的となっています。
さまざまな研修を実施した結果、「会社のために良いか悪いか」という点について社長と役員が役職の上下に忖度をせずに、自由に意見を交換できる環境の構築につながっています。同社では、今後は2024年度からはエンゲージメントサーベイを開始し、その結果を使用した「部門長ワークショップ」を実施予定。今後5年、10年かけながら、組織と社員の意識を変えていくことを目指しています。
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丸光産業株式会社は、創業から70年以上スポーツ・健康用サポーターの製造販売を中心として、通所介護サービスや企業主導型の保育サービスといったように、多角的な事業展開を行っている企業です。
企業の成長に伴って、社長への依存や組織・役割のあいまいさなど、経営課題も顕在化していました。特に、組織運営のスピードにも影響を与えてしまう「現場で判断ができないために、最終的に社長に業務が集中する」という点が大きな課題となっていたため、管理職自らが意思決定を行った上で部門を牽引する「自走型の体制づくり」が求められていました。コンサルタントに相談した上で、繊維事業部と介護事業部を中心として30〜50名の社長面談を実施し、現場の声を拾った上で課題や認識を徹底的に洗い出すところからスタートしました。また、最初の目的は中期経営計画の立案・発表だったことから、そのサポートを依頼するとともに、遷移事業部の改革からスタートしています。
遷移事業部では、セールスサポートとマーケティング室を新設することで、「営業を担当する人」「サポートを担当する人」「マーケティングを担当する人」のように役割を切り分けた上で、適性を見ながら人員配置を行いました。また、本社スタッフ全員がワンフロアで仕事をするようになったという変化もありました。
全員がワンフロアで働くようになったことで、チームとして商品を作り上げるという空気が生まれるようになり、会社が回っている雰囲気が出てきました。また、役割がはっきりとしたことで従業員同士がいい意味でドライに接することができるようになったという変化も生まれています。今後は、目の前の数字ではなく「社員のモチベーション」を重視した組織づくりを目指していきたいと考えています。
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70年以上の歴史を持つ富士化学工業株式会社は、昔からの慣習・文化を重んじる企業文化が根付いてきた企業です。業務は回ってはいるものの、各段階に応じた階層別の教育やキャリアアップの基準などが属人的・あいまいという状況でした。このような状況の中、会社が大きくなるにつれて新人が早々に退職してしまう、目標とすべき指標がないまま育ったことから役職についても必要なスキルが足りない、という課題が浮き彫りになってきました。
さまざまな課題が出てきたものの、同社は昔ながらのやり方で業務を進めているために新しいことへのチャレンジを苦手としているという面もありました。そのため、急にパッケージ型の教材・研修を取り入れたとしても現場で拒否反応が起こると予想されたことから、経営コンサルティングを手がけるPro-D-useへ相談し、課題解決に向けた取り組みをスタートしました。
富士化学工業株式会社が相談をしたPro-D-useは、ほぼ全員とマンツーマンで面談を実施。その内容をもとに経営目線だけではなく現場目線も持ち合わせながら階層別の研修におけるコンテンツの組み立てを行いました。このことから、現在必要としている「活きる研修」につながっています。
Pro-D-useに相談をし、さまざまな対応を行うことによって幅広い視点からテコ入れを行った結果、これまで保守的だった社員も重い腰を上げて動いてくれるようになりました。このことにより会社が動きやすくなったことから、今後も大きな変化を生み出したいと考えています。
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社員のモチベーションの低下があり、高い離職率に歯止めがかからない状況でした。また、離職率が高いのは一部の世代であるなど人材育成の点において課題を抱えていたため、外部の組織改善サービスを導入する、面談の機会を増やすなどさまざまな対策を行ったものの、効果が見られませんでした。 また従業員を対象として行ったアンケートの結果から、部下への人事考課に関連した管理職のスキル向上や、意識の改革などが必要であると感じていました。
上記の課題解決に向けて、「人をどう育てるか」「どう評価するか」という人事評価のスキル向上・意識改革が必要であると判断されたことから、管理職を対象とした評価制度研修の実施を行うことにしました。
研修では、現行の評価制度についての理解度を確認し、制度の強み・課題点について確認すること、また管理職の意見をもとにした現行評価制度の課題の洗い出しを実施するとともに、評価制度以外の課題に関しても、改善策などについて具体的に検討する点を研修の目的としました。
これまでは管理職層に対して評価制度に関する全社的な指導を行ったことがなかったため、管理職が独自の感覚で評価を行っていたという傾向がありましたが、参加者自身もこのような研修を求めていたようで、活発に意見が交わされていました。
管理職を対象とした評価制度研修を実施した結果、それぞれのグループの管理職が自社の評価制度について考えるきっかけになっています。今回は比較的経験の浅い人事部門の管理職を対象に研修を実施しており、現場の問題点を高い熱量で議論することができています。今後は、それぞれのグループ会社の経営者層と話し合い現場の課題を改善することが期待されていますが、そのスタートラインとしては上場だったと評価されています。
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近年、企業を取り巻く環境が急速に変化していることから、仕事に対する考え方や価値観などを変えていくための「意識改革」が求められています。特に、管理職はチームを牽引するという役割を持っていることから、人材の育成やチーム全体のパフォーマンス向上のためにも、意識の改革が重要になる場面が出てくることもあります。
こちらの記事では、さまざまな企業において意識改革に取り組んだ事例についてご紹介しました。例えば部下の育成がうまくいかない、チームのパフォーマンスが上がらないなどの課題を抱えている場合には、意識改革への取り組みが必要となる可能性もあります。
また、本サイトは経営幹部の育成に特化した情報をまとめています。
「事業部長候補向け」「現地法人の代表候補向け」「次期後継者候補向け」という対象者別のおすすめの研修プログラム提供会社も紹介していますので、比較・検討の材料としてご活用ください。
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「VUCA(先行きが不透明であり、将来の予測が困難な状態)」と呼ばれる現代では、過去に成功したからといってそれがまた当てはまるとは限りません。前例踏襲とは過去のやり方をそのまま引き継ぐことですが、状況の変化に対応できないまま前例に固執し、リスクを避けようとすることは経営上のリスクとなる可能性もあります。
以上の点から、予測不能な事態を恐れるのではなく、変化を前提として意思決定していくという意識や考え方が求められているといえます。
従来行われてきた「指示・命令・管理」を行っていく形のリーダーシップは、変化の激しい時代には限界があります。もし経営層が細部まで介入し過ぎた場合には現場における主体性が失われてしまい、意思決定のスピードが鈍ってしまいます。必要なのは現場の自律を引き出す視点を持つという点です。そのためにも、現場が自律的に動ける環境を整えることが必要となります。現場の心理的安全性を確保し、ボトムアップの提案を尊重する姿勢が、組織全体の強さを生み出せます。
役員には、特定部門の代表ではなく、会社全体の企業価値を最大化するための視点が求められます。縦割りの組織による自部門の利益やリソースのみを優先する動きは、組織の変革を阻んでしまう大きな要因となりますので、全社横断的な視点が重要であるといえます。このように、各部門や工程を個別に最適化するのではなく、全体のバランスと連携を重視して考えていくことが重要です。
経営層において意識改革が進まない理由として、「過去の成功体験への固執」が挙げられます。長年そのやり方で利益を出すことによって企業を守ってきた経験は、その組織にとって大きな財産です。この点から、「やり方を変える」という点が過去の自分たちを否定しているように感じてしまう心理が働きます。このように、過去の成功体験が、経営層の意識改革における大きな壁となるケースがあります。
現場が日々直面している顧客ニーズの変化や競合の脅威が、経営層に十分に伝わっていないケースも見られます。現在の業績が安定している場合は特に、「業績が安定している今、なぜ変革が必要なのか」という意識を持つこともあります。また、経営層間でも危機感のレベルに乖離がある場合、変革に向けた議論が空回りしてしまい、足並みが揃わなくなってしまう可能性もあります。
もし経営層が「新しいチャレンジを」「自律を目指す」といった内容のメッセージを発信していたとしても、実際の会議や評価制度での振る舞いが「ミスを許さない」「指示待ちを好む」といった状況があると、意識改革は形骸化してしまいます。役員自身が古い慣習やこれまでのやり方に縛られた行動を取り続けてしまい、既存の体制が残されている限りは、現場だけを変えようとしたとしても組織全体の意識を本質的に変えることは難しいといえます。
経営層の意識改革を進めるには、改革を行う目的と経営課題を明らかにすることが求められます。そのためにも、まずは「なぜ意識を変える必要があるのか」という部分の背景になる経営課題を直視するところからはじめます。目指す組織像と現状のギャップが明らかになることによって、意識改革の必要性について認識しやすくなります。
経営層の中で現状認識にばらつきがある場合、そもそも「何が問題なのか」が共有されません。議論が前提のずれに終始してしまうため、その後の戦略をまとめるのが難しくなります。さらに、意識改革を進めるには「改革の必要性」について納得できなければ進められません。「なぜ変わる必要があるのか」という共通理解を持つことによって、改革に対する抵抗感を減らせます。
また、現状認識をそろえることによって経営層から発信するメッセージや施策のばらつきを防ぐことができ、現場とのギャップや混乱の発生を防止できます。
現状認識が揃ったら、経営層同士で徹底的な対話を行います。ここでは表面的な議論を行うのではなく、個々の価値観などを共有し、新たな判断軸について定義を行います。ここで重要なのは、反対意見についても出し尽くし、最終的に「この価値観で経営を行っていく」という合意形成を行うことです。経営層が団結することが、組織を変えていく起点になります。
更新した価値観や判断軸を、仕組みとして可視化していきます。具体的には、制度や評価、会議の枠組みなどに落とし込んでいきます。「意識」という目に見えないものを変えていくには、目にみえる「行動ルール」や「評価」などを変えていくことが効果的であるといえます。
経営層と現場にギャップがある場合、いくら経営層が意識改革を行ったところで現場は反応してくれません。経営層が改革に乗り気になっていたとしても、現場は業務の手間が増えるだけ、と感じている可能性もあります。
そのため、まずは管理職や現場に対して、意識改革の目的やメリットを伝えた上で、経営層が率先して意識改革に着手し、定着をはかることが必要になってきます。そして大きな変化は組織に負担をかけてしまうために、小さな改革から進めていくことが重要になってきます。
経営層の意識改革を最終的に現場の行動変容につなげていくには、両者を結ぶ管理者層の存在が重要です。もし、トップの価値観が新しくなったとしても、管理者層が従来と同じような管理手法を続けている場合、現場に変化が届きにくい状態であるといえます。経営層が変わる姿勢を見せるとともに、管理職に対しても新たな方針の背景・意図などを丁寧に説明した上で、意識改革も並行して進めていくことが、組織全体の改革につながる重要なポイントとなります。
「意識を変えろ」というトップダウンの命令を出すだけでは、人の心が動くことはありません。急な変革を押し付けられたとすると、現場は不安や戸惑いを感じてしまいますので、なぜこの変革が必要なのか、それが組織の将来や従業員の未来にどのように寄与するのかといった点を、対話を通じ丁寧に説明をしていくプロセスが大切になってきます。このように、丁寧に対応していくことによって、やらされているのではなく納得感のある変革につなげていけるようになります。
意識改革による組織文化の改革は、すぐに成し遂げられるものではありません。すぐに目に見える業績の向上だけを求めた場合には、焦りから従来の管理方法に逆戻りしてしまう可能性も考えられます。そのため、経営層は意識の浸透や行動の変容といった点を、中長期的な視点を持ち見守るという姿勢が必要であるといえます。一方、小さな成功体験を作り出すことによって、組織に自信を持たせる工夫も必要です。
経営幹部育成は、誰を育てるかによって選ぶべきプログラムが異なります。
ここでは、事業部長候補・現地法人の代表候補・次期後継者候補の3タイプに分けて、相性のよい研修プログラムを紹介します。
【事業部長候補】向け
経営変革を担う人材の育成なら

実在企業の課題をもとに考え抜く演習や、異業種の受講者との議論を通じて、経営判断力・戦略思考・構想力を磨けるプログラムです。部門最適ではなく、全社視点で考えられる人材を育てたい企業に向いています。
【現地法人の代表候補】向け
グローバルリーダー育成なら

異文化理解や現地適応力に加え、実務を想定したトレーニングを通じて、グローバルな経営視点と現地スタッフとの協働力を身につけられるプログラムです。赴任前後の育成を強化したい企業に向いています。
【次期後継者候補】向け
事業承継のためのインプットなら

階層別テストやケース演習を通じて、後継者候補に必要な意思決定力・リーダーシップ・経営知識を整理して強化できるプログラムです。事業承継に向けて、必要な知識を計画的に補いたい企業に向いています。