本記事では、日産車体が実施したオーダーメイド型の「役員研修」プログラムを事例として紹介しています。自動車業界の変革を背景に、経営層を対象とした「ワークショップ形式のDE&I研修」により、視座の向上や意思決定力の醸成を実現した取り組みです。幹部育成の手法を検討している企業の皆様は、自社に最適な導入プランを構築するヒントとしてご活用ください。
自動車業界が大きな変革期を迎える中、日産車体は2023年〜2027年中期経営計画で「持続可能な企業基盤」「魅力ある商品の創出」「独自性の進化と深化」の3本柱を掲げ、その実現に向けた戦略を推進しています。
中でも「持続可能な企業基盤」を実現する上で、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)は重要な取り組みと位置づけられました。
これまで、日産車体では女性活躍や育児・介護をテーマにダイバーシティ研修を実施してきましたが、社員の価値観や背景への理解は十分とは言えませんでした。また、DE&Iが経営課題とどう関係するのかについても、明確に捉えられていない状況でした。
この課題を受け、まずは経営層自らが様々な価値観を理解し、現場の声に耳を傾け、経営に活かす姿勢が求められると判断。経営層の視座を引き上げ、組織変革の推進役としての行動の変化が急務となりました。
日産車体では、経営層14名を対象に、DE&Iをテーマとしたワークショップ形式の研修を実施。研修は単なる理論習得ではなく、経営層が日々直面する課題とDE&Iを結びつけ、具体的な行動の変化を促すことを目的に設計されました。
構成は基礎編と実践編に分かれ、DE&Iがビジネスにもたらす価値、社内文化との関係性を学ぶことに加え、対話を通じた実践的なアプローチを重視。参加者同士の双方向の対話を中心に据え、価値観の共有と信頼関係の構築を目指しました。
また、経営層が対話の推進者として現場に関与し、組織変革の旗振り役となることが期待されています。
研修では、経営層がDE&Iと日常業務の関連性を実感できるよう設計されており、事前アンケートと研修後の回答変化がその成果を裏付けています。実施前には「多様性推進が進んでいる」と感じていた層が多かった一方で、研修後は「実際はできていない」と認識する層が増加。
この変化は、DE&Iに対する理解が深まったことで、自社の現状をより客観的に見直す視点が育まれた結果といえます。
研修内では、制度や構造、社内の文化や雰囲気の両面から現状の課題を整理。そうした中で取り上げられたテーマの一つに、「女性の意見をどのように経営に反映するか」という課題があり、対話を通じて深掘りされました。経営層にとって、DE&Iが単なる理念でなく、日々の経営課題解決に直結するものであると捉え直す機会となりました。
研修後、経営層の間では人の話に耳を傾ける姿勢が広がり、それを周囲に伝える行動も多く見られました。部門を越えた意見交換が活発になり、現場の声を反映した意思決定がしやすくなるなど、組織内にも変化が現れています。
経営層が率先して意識と行動を変えたことで、DE&I施策に対する全社的な理解と推進力が強化されました。
この取り組みは現在も継続中であり、「誰もが働きがいを持ち安心して働ける企業」を目指して、経営層がリーダーシップを発揮する事例といえます。
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日産車体の事例は、自社の経営戦略と連動した幹部育成設計と経営層の強いコミットメントが、DE&I推進というテーマを通じて視座の向上と組織変革を促進した点が特筆されます。
幹部育成研修は単発で完結せず、戦略的設計と社内の巻き込みがあって初めて機能します。本記事が、自社に合った幹部育成プログラムを構築するヒントになれば幸いです。
また、本サイトは経営幹部の育成に特化した情報をまとめています。
「事業部長候補向け」「現地法人の代表候補向け」「次期後継者候補向け」という対象者別のおすすめの研修プログラム提供会社も紹介していますので、比較・検討の材料としてご活用ください。
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おすすめ3選
役員研修は、企業の経営幹部である役員を対象とした研修プログラムであり、経営環境の変化などに対応しつつリーダーシップを発揮するために求められる知識やスキルの習得を目的としています。
一般社員向けの研修は、主に「業務効率の向上」や「実務スキルの習得」など、現場の戦術レベルを重視しているという特徴があります。対して役員研修においては経営戦略や財務管理、リスクマネジメント、コンプライアンスといったように、経営に関わってくるさまざまなテーマが扱われます。さらに、自社が抱えている課題の解決・業績向上に繋げるための実践的な内容も含まれている点が、役員研修の特徴といえます。
企業の役員にはさまざまな役割があり、研修においても学ぶべきテーマはさまざまです。例えば、取締役は会社の方針や戦略について最終的に決定するという役割を持っていることから、経営戦略やコーポレートガバナンスに関わる内容について学ぶことが大切です。執行役員の場合には、決定された戦略を現場において実行する責任を持っているため、組織マネジメントなどに関する内容が中心となります。このように対象者別の職責に応じた、適切なテーマ設定を行うことが必要となります。
「講義型研修」は、講師から受講者に対して一方的な知識のインプットを行うことを主としていますが、役員向けのワークショップの場合には、参加者同士の「対話」や「協働」を重視する参加型のプログラムとなっています。自社におけるリアルな経営課題をテーマとして設定し、役員同士が議論を交わしつつ解決するための方法や新しいビジョンなどを創出していきます。このように、正解のない問いに対してそれぞれが持っている意見を交わすことによって、知識の習得に加えて経営陣としての意思統一を図れる点がメリットといえます。
役員には担当する部門の利益だけではなく、会社全体を見渡せる「全社最適」の視点が欠かせません。この点から、経営戦略における基本フレームワークやM&A、事業ポートフォリオの再編、新規事業の創出といったテーマが多く用いられています。さらに、不確実性の高い環境下で決断を下すための「意思決定力」や「クリティカルシンキング」を強化するプログラムも重視されます。
企業における不祥事のニュースを多く耳にする昨今、コーポレートガバナンスや法的な責任などのテーマも多く用いられています。また法令を遵守するのはもちろんですが、ステークホルダーからの信頼を獲得した上で、企業価値の向上を実現するための「攻めと守りのガバナンス」をどのような形で両立するかといった点について、過去の事例などを通じ深く理解することが大切です。
経営状況について把握を行う財務リテラシーも主要なテーマであるといえます。また、自然災害者サイバー攻撃など、企業を取り巻いているさまざまなリスクを予測し、有事の際の危機管理体制を学ぶことも大切です。さらに、株主や投資家、従業員、地域社会など、多彩なステークホルダーへの対応、コミュニケーションスキルも重要な要素であるといえます。
企業の経営においては、DX(デジタルトランスフォーメーション)や、生成AIなどトレンドをキャチアップすることも大切なポイントです。また、SDGsや気候変動対策、人的資本経営、ビジネスと人権といったように、サステナビリティに関連するテーマについては、いかに経営戦略に統合していくかが問われることになります。
自社が直面している経営課題に対して、役員陣に「当事者意識」を持たせたいと考えている場合に、役員向けのワークショップを取り入れるのは有効です。自社の弱みや外部環境の変化について、第三者からの報告を聞くのみでは本当に危機感を共有するのは難しいといえますが、ワークショップ形式で自社のリアルなデータや課題を提示し、自分たちで分析を行い、解決に向けたシナリオを描くプロセスを経験することによって、経営課題を自分ごと化できます。
役員はそれぞれが異なる専門領域やバックグランドを持っていますので、判断基準や視座にずれが生じることが多いといえます。しかし、この点を放置してしまうと経営会議での議論が並行線をたどってしまうために、意思決定の遅れが生じる原因になります。ワークショップを通じ「自社のパーパス」「数年後にどうありたいのか」といったテーマについて本音で話をすることによって相互理解を深められます。その結果、経営陣としての目線を揃えられ、強力なチームビルディングの実現に繋げられます。
例えば、新規事業を立ち上げる際の方向性や未知の市場への参入を行う際など、正解のないテーマについて議論を行いたいと考えている場合にもワークショップが適しているといえます。
講義型の研修を行う場合には既存のフレームワークや他社の成功事例を学べますが、自社に合う答えを生み出すことは難しいといえます。ワークショップを行う中で役員同士がさまざまな視点からアイデアを出し合い、時には意見をぶつけ合いながら、自社に合った戦略や価値観の共創を行うことが可能になります。
役員研修やワークショップを企画する際には、「目的」が非常に大切です。「とりあえず最新のトレンドについて学ばせる」といったように曖昧な目的で行うと、なかなか成果につながりにくい面があります。
「役員のコミュニケーション不足を解消したい」「時期中期経営計画の骨子を固めたい」といったように、研修やワークショップを通じてどのような課題を解決し、どのような状態を目指したいのかゴールを明確に定義することが、成果につなげる第一歩といえます。
一般的なパッケージ型の研修をそのまま適用するのではなく、自社の業界特性や経営フェーズ、現在抱えている経営課題に合わせてテーマを設計する、という点が大切です。また自社に合ったテーマ設定を行うことによって、役員自身も参加意欲を高めて、実務への還元率を飛躍的に向上させられます。
研修を行って知識のインプット(講義)のみで終わらせるのではなく、参加者同士のディスカッションと具体的なアウトプットを行う場を組み込むことが、成果を出す鍵となります。具体的には、専門家から経営理論について学んだ後に、その内容を自社にどのように適用していくかを徹底的に議論していきます。その中で、自社の課題を解決するためのアクションプランの策定、新たな経営ビジョンの言語化といったように、「目に見える形」でのアウトプットを行うことによって、学んだ内容が成果につながっていくことが期待できます。
研修やワークショップを行った後は、その後の現場におけるアクションに繋げることが大切です。研修を行った当日の熱量を維持するには、策定したアクションプランを経営会議の議題に組み込む、定期的なフォローアップセッションを設けるといった仕組みが求められます。そのほか、研修によって役員自身が得た学びや決定した事について、現場の従業員に対して自らの言葉で発信することにより、組織の意識改革につなげていけます。
役員向けの研修やワークショップを選ぶ場合には、「公開講座」と「講師派遣」の2種類の違いを把握し、比較した上で選択することがポイントです。
公開講座は複数企業の役員が集まる形式で行われる研修で、他社の役員との交流や意見交換ができます。さまざまな業種の視点が得られるため、自社を客観視できる点が大きなメリットとして挙げられます。対して講師派遣は自社の役員のみが参加して行われるため、自社が抱えている経営課題をテーマとして議論を行える、自社に合わせてカリキュラムの内容をカスタマイズできるなどのメリットがあります。
このように、研修やワークショップを選ぶ際には目的に応じた形式を選択することが大切です。
役員研修やワークショップが成功するかどうかは、講師の質にも大きく左右されます。役員層は豊富な経験を持つメンバーの集まりであるため、単に教科書的な知識の伝達を行うのみの内容では納得感のある研修とすることは難しいといえます。そこで確認しておきたいのが、講師の専門性と、役員層に対する支援実績があるかどうか、という点です。この点を確認しながら研修を選択することによって、満足度の高い研修に結び付けられる可能性を高められます。
自社の要望に合わせて、研修やワークショップの内容を柔軟にカスタマイズできるかどうかは非常に重要な選定基準となります。特にワークショップを行う場合には、あらかじめヒアリングを行うことによって自社の経営環境や組織の風土などについて理解を深め、その内容に沿ったケーススタディの作成などを設計してくれるかどうかという点がポイントといえます。事前の打ち合わせから実施後のフォローに至るまで、しっかりと課題解決まで支援してくれるかを見極めるのが大切です。
経営幹部育成は、誰を育てるかによって選ぶべきプログラムが異なります。
ここでは、事業部長候補・現地法人の代表候補・次期後継者候補の3タイプに分けて、相性のよい研修プログラムを紹介します。
【事業部長候補】向け
経営変革を担う人材の育成なら

実在企業の課題をもとに考え抜く演習や、異業種の受講者との議論を通じて、経営判断力・戦略思考・構想力を磨けるプログラムです。部門最適ではなく、全社視点で考えられる人材を育てたい企業に向いています。
【現地法人の代表候補】向け
グローバルリーダー育成なら

異文化理解や現地適応力に加え、実務を想定したトレーニングを通じて、グローバルな経営視点と現地スタッフとの協働力を身につけられるプログラムです。赴任前後の育成を強化したい企業に向いています。
【次期後継者候補】向け
事業承継のためのインプットなら

階層別テストやケース演習を通じて、後継者候補に必要な意思決定力・リーダーシップ・経営知識を整理して強化できるプログラムです。事業承継に向けて、必要な知識を計画的に補いたい企業に向いています。