本記事では、医療・介護業界における経営幹部育成に関する取り組みについて、公開情報をもとに整理しています。2024年問題による人材不足や診療報酬・介護報酬の見直しなど、経営環境が大きく変化するなかで、現場の専門職から経営視点を持つリーダーをどう育てるかという課題への対応策を確認する参考情報としてご活用ください。
SOMPOケア株式会社は、SOMPOホールディングスグループの介護事業会社として、全国で介護付きホームや在宅介護サービスを展開しています。介護業界全体で人材確保が課題となるなか、現場スタッフから管理職・幹部人材へのキャリアアップを体系的に支援する仕組みの整備が重要なテーマとされています。
公開情報からは、未経験入社の職員も多かったことが確認できます。専門技術の習得と並行して、ホーム長などの管理職や本社スタッフとしての経営人材を育成していく仕組みの構築が求められていました。
同社は2017年に企業内大学として「SOMPOケアユニバーシティ」を東京・大阪の2拠点に開設しました。現場と同じ環境を再現した研修施設を設け、介護スタッフから看護師・ケアマネジャーまで職種に応じた研修を実施しています。
また、2023年7月には「SOMPOケアユニバーシティ オンラインキャンパス」を開設し、年次・役職に合った研修をオンラインでいつでも受講できる環境を整備。地方の施設に勤務する職員も含め、全国の職員が均等に学習機会を得られる体制が構築されています。
同社のキャリアパスは、専門職(介護のプロフェッショナル)・管理職(ホーム長など)・本社職(経営企画・人材開発など)の3つの方向性が設計されており、それぞれの道に応じた育成プログラムが提供されています。
開示情報からは、ホーム長やケアスタッフ・ケアマネジャーなど職種ごとに「ICF(国際生活機能分類)」や独自メソッドを活用したカリキュラムが整備されていることが確認できます。また、マネジメント経験交流研修や他社・他業界事例の検討など、現場の専門技術にとどまらない経営視点の養成も取り組みに含まれています。
SOMPOケアの取り組みの成果として、入社時の研修から管理職・幹部ポジションへの段階的なキャリアアップまでを一貫した仕組みとして設計し、人材の定着と経営幹部の継続的な輩出を支える基盤が構築されている点が挙げられます。人材流動性が高い介護業界において、体系的な投資が組織の競争力強化につながる体制を実現しています。
社会医療法人大道会は、大阪市を拠点に多角的に事業を展開する医療法人グループです。法人の公式サイトによると、過去の病院開設等を契機に職員数が飛躍的に増え、それに伴い新人管理職が急増したという背景が示されています。医療・介護現場では専門職が管理職に就くことが多く、マネジメント力の増強が急務とされていました。
同法人では、より強固な組織づくりを目指し、管理職を対象とした研修である「課題解決ワークショップ」を2010年から継続して実施していることが紹介されています。これは、専門技術だけでなく、組織を牽引するために必要な論理的思考力や問題解決力を身につけることを目的とした取り組みです。
同ワークショップのプロセスでは、論理的思考力などの手法を用いながら、課題の発見から分析、解決策の立案までを体系的に学べるよう構成されています。感覚や現場のノウハウに依拠しがちな判断に対し、構造化された問題解決スキルを習得させる実践的な内容が特徴として読み取れます。
大道会では、長年にわたるワークショップの実施を通じて、専門職としての高い現場力に論理的思考力や課題解決力を加えることで、管理職層のマネジメント力を底上げする育成基盤が成果として確立されています。
本記事で紹介した2つの事例は、いずれも現場の専門職人材を経営・管理人材へ育成する仕組みづくりへの継続的な取り組みが見られます。
医療・介護業界では専門性の高い職種が多く、現場力の育成と経営視点の養成を両立させることが重要です。
体系的な研修制度の整備と、経営トップの関与を組み合わせることで、組織全体のマネジメント力を底上げする取り組みが進められています。
2024年問題や報酬改定など経営環境の変化が続くなかで、次世代を担うリーダー層を計画的に育成する仕組みを早期から整えることが、法人の持続的な成長につながる可能性があります。
また、本サイトは経営幹部の育成に特化した情報をまとめています。
「事業部長候補向け」「現地法人の代表候補向け」「次期後継者候補向け」という対象者別のおすすめの研修プログラム提供会社も紹介していますので、比較・検討の材料としてご活用ください。
経営幹部育成は、誰を育てるかによって選ぶべきプログラムが異なります。
ここでは、事業部長候補・現地法人の代表候補・次期後継者候補の3タイプに分けて、相性のよい研修プログラムを紹介します。
【事業部長候補】向け
経営変革を担う人材の育成なら

実在企業の課題をもとに考え抜く演習や、異業種の受講者との議論を通じて、経営判断力・戦略思考・構想力を磨けるプログラムです。部門最適ではなく、全社視点で考えられる人材を育てたい企業に向いています。
【現地法人の代表候補】向け
グローバルリーダー育成なら

異文化理解や現地適応力に加え、実務を想定したトレーニングを通じて、グローバルな経営視点と現地スタッフとの協働力を身につけられるプログラムです。赴任前後の育成を強化したい企業に向いています。
【次期後継者候補】向け
事業承継のためのインプットなら

階層別テストやケース演習を通じて、後継者候補に必要な意思決定力・リーダーシップ・経営知識を整理して強化できるプログラムです。事業承継に向けて、必要な知識を計画的に補いたい企業に向いています。