経営幹部研修の予算取りでは、「1件あたりいくらか」という金額だけでなく、自社の教育研修予算全体の中で、経営幹部育成にどの程度の位置づけを与えるかという視点が欠かせません。金額だけを見て高い・安いを判断すると、投資としての妥当性を見誤ることがあります。
本記事では、公的機関・研究機関の調査データをもとに教育研修予算全体の水準感を整理したうえで、経営幹部研修の費用のうち公開情報から確認できる範囲を紹介し、費用を「投資」として捉えるための考え方を解説します。
経営幹部研修の費用を考える前提として、まず自社の教育研修予算全体がどの水準にあるかを把握しておくと、個別の研修費用の妥当性を判断しやすくなります。
厚生労働省「令和6年度 能力開発基本調査」によると、OFF-JT(社外での研修など)に費用を支出した企業は54.9%にのぼり、労働者一人当たりの平均支出額は1.5万円(令和5年度実績)とされています。また、産労総合研究所「2024年度 教育研修費用の実態調査」では、従業員1人あたりの教育研修費用の実績額(全体平均)は36,036円、企業規模別では大企業39,553円、中堅企業36,195円、中小企業31,788円という結果が示されています。
これらはあくまで全従業員を対象にした平均値であり、経営幹部候補向けの選抜型・専門型プログラムは、この平均を上回る単価になるのが一般的です。
そのうえで、経営幹部研修は形式によって「価格が公開されているもの」と「個別見積もりが前提のもの」に分かれます。公開講座や社内研修、合宿型は、多くの提供機関が個別見積もり制を採っており、公開されている確実な情報は限られます。目安を知りたい場合は、複数社に問い合わせて見積もりを比較するのが確実です。
一方、学位取得を伴うMBA・エグゼクティブプログラムは、学納金として金額が公開されていることが多く、目安を確認しやすい形式です。国内の全日制課程で私立2年間350万円前後、国公立2年間150万円前後、オンライン型で2年間200万〜300万円程度とされています。海外MBAはさらに高額で、年間7万〜8万ドル(800万〜900万円)程度が一つの目安です。参考として、学位取得型プログラムの一例であるBBT大学院自体の学費は、入学金31.5万円、授業料138万円/年、システム利用料12万円/年で、2年間の総額は約331.5万円です。
同じ「経営幹部研修」でも、以下の3つの要因によって費用は大きく変わります。
著名な講師や大学ブランドを冠したプログラムほど、講師料・プログラム設計費が高額になりやすい傾向があります。知名度だけでなく、自社の課題に合った専門領域を持つ講師・機関かどうかを確認することが重要です。
公開講座のような短時間・多人数の形式は1人あたりの単価が抑えられる一方、合宿型や長期の体系的プログラムは、拘束期間が長くなるほど費用も比例して増加します。会場費・宿泊費・交通費といった付帯コストが加わる点も見落とされがちです。
自社の事業内容や課題に合わせてプログラムをフルカスタマイズする場合、設計工数が増えるため費用は高くなります。反対に、既存の公開講座やパッケージ型プログラムを利用する場合は、カスタマイズ費用がかからない分、費用を抑えやすくなります。
費用感を把握したうえで重要なのは、金額の大小だけで判断しないことです。
経営幹部の意思決定は、事業全体の業績に影響します。研修費用を「支出」としてではなく、登用後の意思決定の質や事業成果への影響と比較する「投資対効果(ROI)」の視点で捉えることが、費用の妥当性を判断する基本的な考え方になります。
高額なプログラムが必ずしも自社に適しているとは限りません。候補者が少人数であれば合宿型やカスタマイズ型、階層全体を底上げしたい場合は公開講座を組み合わせるなど、目的と対象規模に応じて形式を選び分けることで、費用対効果を高めやすくなります。
研修そのものの金額だけでなく、受講後の行動変化をどう確認するか、育成計画にどう接続するかまで含めて予算化することが、投資として研修を活かす上で欠かせません。研修費用の中に、フォローアップの機会が含まれているかどうかも確認したいポイントです。
経営幹部研修の費用は、公開情報から確認できる形式(学位取得型プログラムなど)と、個別見積もりが前提の形式に分かれます。まず自社の教育研修予算全体の中でどの程度の位置づけを与えるかを整理し、そのうえで講師の専門性・形式や期間・カスタマイズの度合いという3つの要因を踏まえて選ぶこと。そして費用を単なる支出ではなく、登用後の成果と比較した投資として捉えることが、経営幹部研修の予算取りを納得感のあるものにする鍵となります。
実際の費用感は提供機関によって差があるため、本サイトで紹介している研修プログラム提供会社の中から複数を比較し、自社の目的に合った見積もりを取ることをおすすめします。
経営幹部育成は、誰を育てるかによって選ぶべきプログラムが異なります。
ここでは、事業部長候補・現地法人の代表候補・次期後継者候補の3タイプに分けて、相性のよい研修プログラムを紹介します。
【事業部長候補】向け
経営変革を担う人材の育成なら

実在企業の課題をもとに考え抜く演習や、異業種の受講者との議論を通じて、経営判断力・戦略思考・構想力を磨けるプログラムです。部門最適ではなく、全社視点で考えられる人材を育てたい企業に向いています。
【現地法人の代表候補】向け
グローバルリーダー育成なら

異文化理解や現地適応力に加え、実務を想定したトレーニングを通じて、グローバルな経営視点と現地スタッフとの協働力を身につけられるプログラムです。赴任前後の育成を強化したい企業に向いています。
【次期後継者候補】向け
事業承継のためのインプットなら

階層別テストやケース演習を通じて、後継者候補に必要な意思決定力・リーダーシップ・経営知識を整理して強化できるプログラムです。事業承継に向けて、必要な知識を計画的に補いたい企業に向いています。